マウント・バチェラーの遊び心あふれる雪崩救助犬ルディ
2023年の最新情報! ルディは、マウント・バチェラーの斜面をパトロールし始めて、今年で3回目の冬を迎えようとしています。そこで、彼の親友でありルームメイトでもあるアレックスに、ルディの近況や現在の仕事について話を聞いてみました。
「私とルディはとても元気で、また一緒に冬を過ごすのがとても楽しみです。」とアレックスは語ります。「最初の2シーズンでルディは、毎回のトレーニングで私の期待を超える働きをしてくれました。ルディや他の犬たちが仕事を覚えながら楽しそうに取り組んでいる姿を目にすることは特別な体験です。」
ルディもアレックスと同じように、また仕事に戻るのを楽しみにしているようです。アレックス「今年最初の雪が降ったとき、ルディは興奮して走り回っていました。『仕事に行く準備はいいか?』と聞くと、彼はすぐに何をするのかを理解し、仕事モードに入るのがわかります。」
3年目のシーズンを迎え、アレックスは、ルディの基本的なスキルを磨くことから、より複雑なシナリオに取り組むことに重点を移しています。
「ルディが救助犬としてあらゆる状況に対応できるかどうか試されます。今年、ルディともう一匹の犬シャスタが、制限時間内に厳しい捜索コースをクリアすることで正式なスキルの認定を目指しています。」
ルディ達の救助活動によって、マウント・バチェラーの安全が保たれています。今後、ルディがどのように成長し続けるのかがとても楽しみです。
----------------------------------------------
2022年1月
「取ってこい!」とマウント・バチェラーの雪崩救助犬トレーナーのアレックスが指示を出しました。強風吹き荒れる中、ルディは猛スピードで雪洞へと駆け出します。大雪が彼の茶色と白の鼻先に粉雪をかぶせています。
ルディは洞窟に飛び込み、ティールブルー色のパシフィックループトイの端をくわえて引っ張り、アレックスと綱引きを始めました。
「いい子だ!」とアレックスが褒め、生後6か月のボーダーコリーに「はい、終わり!」と声をかけます。ルディは尻尾を振り、誇らしげな表情を浮かべます。
マウント・バチェラーの新しい雪崩救助犬コンビ
オレゴン州ベンド近くのカスケード山脈で、強風が吹き荒れ、凍てつく金曜の朝。Ruffwearのチームメンバーと私は、マウント・バチェラーの雪崩救助の新人見習い犬、ルディを知るために現場訓練に訪れています。
ルディは、ぱっちりした明るい目を持ち、一見すると典型的な子犬らしい可愛らしさとユーモアがあります。ただ、彼をよく知るにつれ、真剣で努力家な一面が見えてきます。まるで「私には輝かしいキャリアが待っている!」と言わんばかりの自信に満ちた様子で訓練に取り組んでいます。
ルディは、ボーダーコリーの典型的な模様を持ちながらも、いくつかユニークな特徴があります。茶色の顔には白毛で一本のラインが走っており、右の鼻孔には小さなピンク色の斑点があります。すらりとした白い足は、チョコレート色の体と対照的で、まるで白いニーハイブーツを履いているかのようです。
通常の訓練日には、2人のトレーナーがルディと一緒に雪洞で作業を行いますが、今日は私たちも参加します。私たちは、山のふもとでスキーパトロール室の角に集まり、雪洞でのルディの様子をメモしたり、写真やビデオの撮影をしました。
ふと見上げると、スキーリフトには過酷な環境にも負けず滑走を楽しむスキーヤーたちが見えます。その間も、ルディは何度も練習を重ね、注意深くアレックスを見つめて次の指示を待ちます。
スノーパトロール隊員として5年目のアレックスは、落ち着いた様子でルディをリードします。数か月前、彼はルディをアイダホの牧場で見つけ、訓練をのためにここオレゴン州ベンドに連れてきました。
ルディを同僚として迎えた所感を尋ねると、アレックスは微笑みながら答えました。「本当に素晴らしいです。自分の犬を連れて仕事に来て、一日中一緒にいられるなんて、想像もしていませんでした。ルディと過ごし始めてまだ数か月しか経っていないけど、私にとってはすでに特別な存在になっています。」
雪崩救助犬の訓練フェーズ
マウント・バチェラーでは、スイスのガイドラインに基づき、雪崩救助犬の訓練を4つのフェーズに分けて実施しています。現在、ルディはフェーズ1の段階です。アレックスの目標は、2シーズンをかけてルディーを全ての訓練フェーズをクリアすることです。
フェーズ1は、ルディを山の環境に慣れることです。彼をスノーモービルやリフト、スキーヤー、スノーボーダーに慣れさせ、雪洞に投げ入れられたおもちゃを取ってくる練習もします。トレーナーはおもちゃを報酬として使用し、人を捜索するために犬に動機づけを行います。
次のフェーズでルディは、雪に覆われた洞窟から人を掘り出す訓練をします。最終的には、雪洞の場所を自力で見つけるブラインドサーチ訓練の挑戦も予定しています。
スノーモービルスキル
休憩中に手袋を外してメモを取ろうとすると、寒さで指先の感覚がなくなり始めました。そこにルディが尻尾を振りながらやってきました。彼は何度か体をすり寄せて甘えると、そのまま雪にダイブして楽しそうに転げ回りました。
アレックスに呼ばれると、ルディはすぐに集中した表情になり、仕事モードに切り替わります。
ルディはアレックスと共にスノーモービルで山を登る練習もします。私たちがカメラとメモを片手に待ち構えていると、ルディがしゃがみ込み、跳び乗る準備をしました。
ボーダーコリーはジャンプ力が高いことで知られており、ルディもその例外ではありません。アレックスがRuffwearのウェブマスターハーネスの持ち手を使って補助をしながら、ルディは高く跳び上がりシートに着地します。アレックスも続いて乗り込み、ルディは彼の膝の上に移動して安全が確保されると、出発の準備が整います。
アレックスは、ルディとの訓練においてウェブマスターハーネスがいかに重要であるかを語ってくれました。「私たちはウェブマスターハーネスを毎日使っています。このハーネスには便利な持ち手がついているので、もしルディがリフトに乗り損ねても簡単に引っ張り上げられます。また、これを着けていると雪の中でもよく目立ちます。さらには防寒対策にもなるため、とても素晴らしいユニフォームとなっています。」
チェアリフトの練習
フォトグラファーのエレーナとコミュニティマネージャーのダニは、深い雪の中を歩きながらルディーとアレックスに続いてチェアリフトまで進みました。
ルディはアレックスの指示を待ち、リフトの上に自分で跳び乗ります。そのまま伏せた状態でアレックスが一緒に乗り込むのを待ちます。
アレックスは次のように話しました。「初めてリフトに乗せたとき、ルディはまだ生後10週だったので、ずっと抱きかかえていました。徐々に自分でリフトに乗れるように練習をしてきて、日々上達しています。
基本的には、ゆっくり一歩ずつ訓練を進めています。リフトのスピードを一番ゆっくりにして、ルディを上に乗せたら、おやつをあげて褒めてあげています。そうしたら、最終的には私が促さなくても、自らリフトに乗りたがるようになるでしょう。でも、ルディの準備が整うまではできるだけそばにいてあげたいと思っています。」
スキーパトロール室で暖を取る
ルディが山を駆け下り、アレックスがその後ろをスキーで滑り降りた後、私たちは全員スキーパトロール室に戻りました。雪でゴーグルが曇るほどの吹雪の中、暖かい部屋に入り、一息つきます。
パトロール室の赤い壁のフックにはギアがぶら下がっており、床にはおもちゃが散らばっています。2匹の可愛いゴールデンレトリバー、シャスタとバニヤン(雪崩救助犬仲間)が私たちに寄り添ってきました。シャスタは仰向けに寝転がり、私が撫でてあげている10分間、目を閉じてのんびりと体を伸ばしていました。
一方で、ルディは抱っこよりもボール遊びに興味があるようです。ボールをくわえて来ては、シャスタの顔の上に落とします。私が力いっぱいにボールを投げると、ルディは素早い動きでボールを追いかけていました。
アレックス・サイペックとの対話
ビデオグラファーのドリューが準備完了の合図を出しました。私はインタビューの準備を整えます。アレックスが赤いプラスチックの椅子を引き寄せて座ると、ルディが膝の上に飛び乗ります。そして、まるでインタビューの始まりを待ち構えているかのように、私の目をじっと見つめます。
Ruffwear:ルディが雪崩救助犬に向いている理由は何ですか?
アレックス:彼の素晴らしい点は、ボーダーコリーならではの運動能力の高さです。山中を走り回っても疲れにくいのが助かりますし、動きが身軽でリフトにも簡単に乗ることができます。また、彼は非常に従順なので、今後もきっと上手くやってくれると思っています。
Ruffwear:なるほど、ルディは雪崩救助犬にぴったりですね!スキー場で若い犬と一緒に仕事をする上で、課題や難しさはありますか?
アレックス:そうですね、ルディはまだ若いし、何に対しても興味津々なので、それをコントロールして側に居てもらうようにするのが一番の課題です。また、スノーモービルなどに対してはまだ少し怖がっているようです。でも毎日、目覚ましい成長を見せてくれ、少しずつそういったものにも慣れていく姿を目の当たりにしています。
Ruffwear:素晴らしいですね。ルディはとても可愛いらしいので、山の中でも注目を集めて、それによって気が散ってしまうこともあるのではないでしょうか?
アレックス:はい、その通りです。ルディだけではなく、ここで飼っている犬たちはみんなスキーやスノーボードを楽しむ人たちから大人気です。みんなが歓声を上げたり、写真を撮ったり、撫ようとしたりするので、人混みから離れるのも一苦労です。
Ruffwear:そうなんですね。一般の人が雪崩救助犬に接する際のアドバイスや守ってほしいルール、安全上のヒントなどはありますか?
アレックス:はい、基本的にはどの作業犬でも同じですが、制服を着た犬が近づいてきても、すぐに撫でようとしないでください。もしトレーナーと一緒にいる場合は、触っていいかを尋ねるようにしましょう。犬たちが制服を着ているときは基本的に仕事中なので、町で見かける盲導犬と同じように接するようにしてください。
Ruffwear:おっしゃるとおりです。ルディのどんなところが一番好きですか?また、ルディのユニークな点はどこですか?
アレックス:子犬として、ルディの一番好きなところは、幼い頃からとても従順で扱いやすいという点ですね。あとは、鼻の小さな斑点模様も気に入っています。これがルディを少し特別にしていると思っています。
頼もしい足あと
名残惜しくも、愛すべき犬のヒーローたちに別れを告げます。私たちは、シャトルバスを待ちながら、エネルギッシュで忠実なルディの姿を思い出します。今後、彼の訓練がどのように進んでいくのかが楽しみでなりません。山で助けが必要になることがないように願っていますが、もしもの時はルディがきっと救ってくれるだろうと信じています。