Ruffwearが歩んできた道(沿革)
Ruffwearの創設者パトリック・クルーズにとって、アウトドアは常に生活の一部であり、人生だ。彼は、散歩や自転車、飛行機の操縦、ボートなど、幼少期から様々なアウトドアに挑戦してきた。そしてそのアウトドアへの挑戦に、相棒の愛犬と共に挑む方法を常に探していた。
今、創設者パトリック・クルーズの家の小さなガレージからスタートした犬用のアウトドアブランド“Ruffwear”は、世界の飼い主達の元に届けられている。
私達は、今までもこれからも、新たなアウトドアの冒険に向かう人間と、その相棒として隣に存在する犬達への熱い情熱を持ち続けるブランドであり続ける。
-
1961
「犬が家族」のクルーズ家に生まれて
これは、創設者パトリックが生まれる3年前に撮影されたクルーズ家の写真である。写真に映る二匹の犬、オリンとレキシーはクルーズ家の重要な家族メンバーとしてパトリックの幼少期に大きな影響を与えた。パトリックにとっては生まれた時から「犬が常に大事な家族の一員」であった。その環境により、パトリックは人間と犬の間にある強い絆を実感するとともに、犬という「四足歩行の友達」がいることへの感謝の思いを持つようになった。
-
1973
何かが起きる予感
パトリックの幼少期は、休日にシアラ山脈に家族とハイキングに出かける日々であった。12歳の頃、愛犬のマリアを「家族のハイキングに一緒に連れていきたい!」という思いから、海軍が運営する中古品店へと足を運ぶ。そこでパトリックは袋をいくつか購入し、母親からミシンを借りてそれら縫い合わせることで自家製の犬用ハイキングバッグを製作した。これがパトリックが初めて作った「犬用のアウトドア用品」であり、後のRuffwearへ繋がることとなる。
-
1977
新たな旅立ち
16歳で高校卒業認定を受けたパトリックは、カリブ海へと旅立った。彼は72フィート(約21メートル)のヨット船、ターミナル号で乗組員として働いていた。船の上での生活は熱帯サンゴ礁でのダイビングをしたり、多様なコミュニティの人々との交流を深める時間であった。パトリックは、この船上での生活で機械修理、木工、裁縫など、技術の基礎を身に付けていった。またここでの多様な人との出会いは、パトリックに広く新しい世界観を与えただけでなく、後のRuffwearブランドにおける「創造性と耐久性の高い製品作り」という考え方の根幹を創っていった。
-
1982
陸への憧れ
パトリックは山や川への憧れから、カリフォルニアへと戻る。ここではカリブ海で得たスキルを生かして、初めてのビジネス「Mariner Marine Works」を立ち上げた。パトリックはこのビジネス経験を通じて「顧客のニーズに答えることへの責任と価値」を学ぶこととなる。そして学びは後に「顧客中心」という、Ruffwearのブランド姿勢を形創ることとなった。
-
1989
「情熱」が「職業」となる瞬間
パトリックは、この年のグリーンリバーでの旅行中、家族や友人に紹介され川の激流をカヤックで下るスポーツ「ホワイトカヤック」に初めて挑戦した。マウンテンバイクからウィンドサーフィンまで、常に新しいアクティビティにチャレンジをしていたパトリックは、この時「他のアウトドア用品に使われていている生地や技術を、もっと良いカヤック用品作りに生かせるのではないか」という気付きを得る。パトリックはこのひらめきを元に、カヤックなどのパドルスポーツ用品を扱う新たなビジネス「サラマンダーパドルギア」を立ち上げた。パトリックにとって、「Mariner Marine Works」に続く2つ目のビジネス立ち上げであった。
-
1992
革新的なアイディアが形になるとき
ある日カリフォルニアのロス・パドレス国立森林公園でマウンテンバイクに乗っていたパトリックは、友人が愛犬に水を与えるのに苦労している姿を目する。パトリックはその様子を見て、「防水性の高い生地があるのならば、水を容器の中にキープするアウトドア用のボウルを作ることもできるのではないか?」と考えるようになる。この気づきから数日後、パトリックは折りたたみ可能な犬用アウトドアボウルの設計図を作った。これが今のRuffwearにつながる第3のビジネスの始まりであった。
-
1993
象徴的な犬との出会いから生まれたRuffwearのブランドロゴ
パトリックの友人リンは、ロサンゼルスのダウンタウンの不用品廃棄場で捨て犬のアーシュラと出会う。リンはのちに、Ruffwearのロゴのモデルにもなる、この犬との出会いを通じて“責任感をもつこと”、“前を向き続けること”、“無条件の愛を持つこと”の大切さを学ぶこととなる。そしてこのリンとアーシュラの出会いは、後にRuffwearが慈善団体と共に展開する「捨て犬と飼い主を繋ぐキャンペーン」の立ち上げのきっかけとなる。
-
1994
顧客を喜ばせる
この年パトリックは自分で作ったRuffwearのボウル15個を持って、小売業者に向けたアウトドア商品の展示会に足を運ぶ。「サラマンダーパドルギア」のブースに展示したRuffwearのボウルは多くの人の興味を惹き、バイヤー達から8,000を超える注文を受ける。この展覧会で披露された「アウトドア」×「犬製品」という異色とも見える新たな掛け算は、新たな市場を開拓しただけではなく、Ruffwearの「常に愛をもって革新性を追い求める」というブランド姿勢を創っていった。
-
1994
走りながら学ぶ
パトリックは自分の家の小さなガレージで、Ruffwearボウルのビジネスに奔走する。Ruffwearは次第に業界関係者達からの注目を集め、アウトドア関連のメディアに次々取り上げられるようになった。当時、パトリックは、製品のデザインから販売、そして注文処理まで、ビジネスにおける全ての工程を1人で行っていた。この「走りながら学ぶ」という彼の仕事スタイルは、“たった1人の従業員”という環境でありながら、ビジネスを大きく拡大させていくことになった。
-
1997
ロードトリップと市場調査
この年パトリックは新たな顧客との繋がりを求めて、ロードトリップへと出かけた。自身の愛犬オーティスと共に旅したこのロードトリップで、2人が1年で移動した距離は40,000マイル(約64,000キロ)にも上った。そしてこの期間、パトリックとオーティスは様々なイベント、展覧会、フェスティバルを訪れていた。この様々な現場を訪れ、「顧客と会って話す日々」は、パトリックに多くの新製品のアイディアを与えた。このロードトリップを通してパトリックが感じた“顧客の生活に触れ、顧客と対話する時間”の重要性への認識は、「顧客中心の商品デザイン」というRuffwearのブランド姿勢を創っていくことになった。
-
1998
事業の拡大
この年パトリックはオレゴン州ベンドへと移り住む。山、川、砂漠が全て揃ったこの土地は、アウトドアライフを追求するパトリックとRuffwearのビジネスを拡大させるための拠点として理想的な場所であった。パトリックはこの地ではじめて、自分以外の従業員を雇うとともに、「事業拡大を行う上で借金をしない」という会社の方針を定める。この方針は、Ruffwearがブランドとして追求する「アウトドアへの冒険に出かける人間とその相棒である犬への情熱を大切にする」、「ブランドとしての目的を見失わない」という2つの軸を実現させ、自由なビジネスができる環境を創った。
-
2001
働く犬達への支援
この年、アメリカで9/11が発生した。未曾有の事態の中、パトリックはジャーナリストが救助隊員に投げかけた「現場でもっとも必要とされているものはなにか」という質問に、「犬用のブーツ」という回答があったことを耳にする。これを聞いたRuffwearチームは、関係各所と協力し「犬用のブーツ」を含む必要物資の手配を行い、捜索チームへ物資を届けた。以前から働く犬に対しての支援を行ってきたRuffwearであったが、この9/11での出来事をきっかけに、働く犬とその側で支える人間たちへの支援を強化していくことになった。
-
2007
自然保護活動への支援
Ruffwearはアウトドア業界各社が参加する自然環境保護団体「The Conservation Alliance」へと加入する。この団体への加入は、「犬と人間が自由に遊ぶことができる自然」を守るというRuffwearの思いから実現したものであった。Ruffwearはこの加入をきっかけに、チャリティーイベントの開催や寄付活動を通して、公共自然区域の自然環境保護活動への積極的な支援を行っている。またRuffwearの従業員の個人レベルにおいても、団体が主催するイベント「Backyard Collective」にボランティアとして積極的参加することで、古くなったフェンスの撤去、外来種の除去、その他現場での復旧活動へと貢献している。
-
2008
雪山で戦う犬達
パトリックは、この年初めて雪崩救助犬とそれを支えるチームについて学ぶためユタ州アルタで開催されている「ワサッチ山脈雪崩救助犬スクール」に参加した。スクールへの参加を通じて、雪崩救助犬とそれを支えるチームへ学びを深めた翌年、Ruffwearはアメリカスキーリゾート協会、雪崩救助犬国際チームのユニフォーム供給業者に選出される。この出来事をきっかけに、製品開発チームはスクールに欠かさず参加し、彼らの使う商品の改善のため様々なフィードバックを現場から得るようになる。商品開発チームがスクールに参加し、雪崩救助犬と一緒に雪に触れ合う時間を過ごし行う姿は、Ruffwearの「機能性を重視する」というブランド姿勢を体現するものである。
-
2009
犬の嗅覚を研究に役立てる
Ruffwearは新たな取り組みとして非営利団体「Conservation Canines」と提携を組む。非営利団体「Conservation Canines」は、家での飼育が難しいと判断された犬達に対して訓練を行い、犬達に野生動物研究のための「探知犬」としての役割を与える団体である。この提携はただ単に自然資源の保護活動への支援を行うものではない。この提携を通じて、探知犬という自然環境の科学的研究や資源管理を手助けする犬と触れ合う時間は、Ruffwearの「犬視点からデザインする」というブランド姿勢を大きく支えている。
-
2015
犬と親友になる
Ruffwearはこの年、「Best Friends Animal Society」と共に「Ruff Adventure Dog Adoption Program」という新たなプログラムを立ち上げた。このプログラムは、捨て犬と里親が養子縁組を組む際に掛かる移動費やその他の費用を支援するものである。このプログラムはRuffwearのブランド姿勢の1つである、「捨て犬と里親との養子縁組をサポートする」という考えのもとに行われているものであり、これまでに多くの犬の命を救ってきた。
-
2016
途切れることのない絆
家の小さなガレージから1人で始まった犬用アウトドアブランドRuffwearは現在、38人の素晴らしい仲間が共に懸命に働き、時に全力で遊ぶ組織へと成長した。Ruffwearは雑誌Outside magazineの「働きがいのある最高の職場100選」に2回選出された。そして、その製品は今、53か国で販売されている。私達はこれからも“犬とアウトドアが好きな人々”によってつくられる、“アウトドアへの冒険者達”のためのブランドである。
-
2017
旅は続く
この年Ruffwearは「人間と犬が生活し、レジャーを楽しむための自然と場所を保護する」という強い思いのもと、利益の一部50,000ドル(約730万円)を自然保護団体「The Conservation Alliance」へと寄付した。この活動からもわかるように、Ruffwearはこれからも「犬と人間が向かう新たなアウトドアへの冒険」に“インスピレーション”を与えられる製品開発を続けていく。
-
2019
ともに乗り越える
2019年、Ruffwearは視覚障害を持つ人々と盲導犬のためのハーネス「UniFly Guide Dog Harness」を製作した。この活動は、Ruffwearの創業当時からある「働く犬とそのパートナーである人間を支える」というブランドとしての思いを原点にスタートしたものである。Ruffwearはこの「視覚障害を持つ人々と盲導犬のためのハーネス」という新たな製品開発を通じて、自分の視覚に頼らなくても「見える」ということを学んだ。
-
2020
在宅で、犬のように献身的に働く
Ruffwearにとっての2020年は、新型コロナウイルスの影響を受けたことで未知の領域への航海を経験するような日々となった。Ruffwearのメンバーは、リモートワークを通じて強い関係を育み、多くの問題に一丸となって取り組んだ。その取り組みが力を発揮し、この年Ruffwearはこのパンデミックという難しい状況の中で、ブランドとしての状況を悪化させないことに成功した。それどころか、新たに18人の仲間を迎え入れ、ビジネスを拡大していくことにも成功した。
-
2021
絶えず変わる川を旅する
Ruffwearはこの年、新型コロナウイルスによる社会の様々な変化、そしてサプライチェーンの課題に直面したが、これまで育んできたその強いチーム力でこれらの課題を乗り越えていった。また難しい状況の中でも、Ruffwearは新たな持続可能性への取り組みをスタートさせ、「米国の運営における再生可能エネルギーの100%利用」という目標を設定する。こうした活動が認められ、Ruffwearはこの年、大手アウトドア小売業者REIが選ぶ、「2020年の年間ベンダーパートナー」の1つにノミネートされる快挙を成し遂げた。また同年、20年間Ruffwearの社長を務めたウィル・ブラウントが、次なる挑戦をするため役職を退任。Ruffwearも新たな旅へと進み始めた。
-
2022
New Rapids to Navigate & Learn From
2020年から2021年にかけての急成長は、2022年初頭には一転して収束し、新たな市場環境の中で成長を続けるためにRuffwearが学ぶべき課題を浮き彫りにしました。私たちは時間の使い方を見直し、不確実な状況下でRuffwearを守るために必要な活動を「やめる」「始める」「続ける」といった決断を下しました。状況が不透明であったにもかかわらず、Ruffwearは「Pack(仲間)」への投資を続け、福利厚生を大幅に拡充するとともに、企業規模と業界に見合った水準で報酬を見直し、業界標準と比較したベンチマークを行いました。
-
2023
サステナビリティは引き続き重要な核となるテーマです。
環境への影響を軽減する取り組みは、Ruffwearのブランド理念に深く根付いています。創業当初から、パッケージにはリサイクル素材を使用し、PFAS(有機フッ素化合物)の削減にも10年以上取り組んできました。そして2023年には、いくつかの重要なサステナビリティ目標を達成しました。2023年秋冬シーズンのリニューアルデザインのうち80%が、従来モデルと比較して環境への影響を軽減することに成功。また、年末までにPFAS含有素材を使用した製品製造を完全に停止するという内部目標も達成しました。
-
2024
設立30周年
「人間の1年は犬の7年分」つまり、30周年を迎えるRuffwearは、犬の時間感覚にすると210年に相当します。 「我々は犬たちと共に、210年の歴史を歩んできた」との思いを込め、アウトドアで絆を深めることを支えてきたこの節目を祝いました。私たちはこれからも原点に忠実であり続け、「実践を通じて学ぶ」姿勢を大切にしながら、サステナビリティを優先し、イノベーション、品質、そして無限の可能性を追求していきます。